平成 二十年 皐月

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既に九時を少し回っていたか、風呂上がりの生乾きの頭のままでテレビのアンテナをいそいそつないだ。序盤のスパゲティを食べる場面だけ観ておこうと思って眺めていたら、最後まで観てしまった。鑑賞二度目かな。「ルパン三世 カリオストロの城」。たぶん前回鑑賞も金曜ロードショー。


ぐりぐり画が動くのでそれだけで楽しい。終盤、巨大な歯車の上でのルパンと伯爵の対決などは、径の違う歯車の回転に対応しようとする両人の動きが、コミカルでいてきちんと表現されていてすばらしいと思った。物理的に無茶と思われる数々の描写も、肯定的な意味での“アニメだから”ということで個人的には良し。
 むしろアニメは、そうでなくては。写真にしかできないこと、絵画にしかできないことがそれぞれある。


May. 2. Fri.

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できれば地元と言うか、住んでいる地域にお金を廻したいと普段から考えている。なので欲しいものがあると、地元の店をあたってみることにしている。
 しかし、無い。私は中心市街まで徒歩で行けるほど便利な場所に暮らしているが、その中心市街の大きな百貨店や大きくない店を回っても目星のものが見つからない。
 見つからないのはともかく、どこへ行っても同じ物を置いているのは何なんだんだんだ。コピーペーストシティ、目眩、デジャヴ。
 その日の岡山は三十度くらいまで気温が上がった。


そのような前置きをして、今日のこと。ネットで買ったコーヒーミルが届いた。ポーレックス という会社の製品。友人のおすすめ品ではあったが、実物(しかもたぶん長く使う道具)を手にも取らずに買うことに抵抗はあるし、ショッピングの楽しみは半減する。でも、どこにも置いてないんだもん。
 それにしても、よりによって amazon で買ったわけだがなんという早さだろうか。私は amazon の ID を持っていないので母親に手続きを頼み、その様を横で見ていたのだが、ワンクリックで契約が成立してしまった。なんとしたことか。その後も非常に早く、寝て起きてごろごろしているうちに届いた。


前置きに真っ向反逆して外資を潤してしまったわけだが、ともかく、
ねんがんの コーヒーミルをてにいれたぞ !
 挽きたて初ドリップは粗挽き過ぎてコクのないスカスカのコーヒーに敗北。ともかく今後は挽きたてである。カウンターで「挽かずに」と、さりげなく(美しく)言えるように練習しなければならない。


May. 5. Mon.

ジャパンポーレックス
ポーレックスのミルはステンレスやセラミックが主材なのでメンテナンスし易そうで、大きさや形状から場所を取らないと思ったので購入。
 しかしそれらのことも結局、人の話と外観などから想像するしかなく、ネットに載っている写真程度では表面処理や質感などは判らないし、重さの感触などは全くわからない。(質量のことではない。手に持ったときの、その道具としてのしっくり感とでも言おうか。何でも軽ければ良いとかそういうものでもないし。)幸い、届いたものは満足のいくものだった。
 残念なことに最近の買い物は専らネットばかりになってしまっている。おもしろい店はないかな。

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連休が始まっても、終わっても、いつもと同じ箱の中。


コーヒーミルで豆をごりごり。初日は荒く挽き過ぎて失敗。昨日は細か過ぎて失敗。今日の三度目でやっとなかなか悪くないところまで辿り着いた。次回から微調整のフェイズに移行。
 コーヒー過多か、また少し内臓が痛んできた。いたわるか、いたぶるか。


May. 7. Wed.

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アパートのピロティの軒下に、今年はツバメがやってきている。何年も前に来ていたつがいが残していった巣を、たぶん彼らとは別のつがいが、今せっせと直しているようだ。リフォームだ。before 鳥の巣、after 鳥の巣。
 囚われのパンダを観に行こうとは思わないが、部屋の窓から見えるケーブルに羽根を休めているツバメの佇まいは、飽きのこない普遍的な美しさを備えているように思える。刹那、羽根を拡げて滑り落ちるように去っていく様も。


May. 8. Thu.

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「どのような理由でのご解約でしょうか?」
 — うーん、なんだろう。使わないから、ですね。 —
「現在どちらか他社様の携帯をお使いですか?」
 — いえ、ないです。 —
「では購入のご予定は?」
 — うーん、ないです。 —
(このへんでお互い変な微笑み合い)
「では今後はもう固定電話のみということでしょうか?」
 — いや、もう、うちに電話はありません。 —


そんな一部虚言を交えた会話ののち、私の使っていた電話機はトゲの付いた万力?、少年漫画の悪党の武器を想わせるナイス道具でメキメキと穴を穿たれプライバシー情報管理も万全、受付のおねえさんのニッコリ笑顔を以て携帯電話の解約手続きは終了した。以後は少し、ほんの少しの間、憧れのテレフォンレス生活を満喫することにする。
 どうせまたすぐに契約の必要がでてくる。身銭を切って自己拘束装置を身につける、まったく二十一世紀は地獄だぜ。


May. 9. Fri.

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昨日の晩、母親に電話を解約したことを告げたら、ふーん、不便ね、と言った。そうだろう、不便なのはおれじゃない。おれ以外だ。


今日は雨。寒かった。昨日のコーヒーを暖めて、グールドのゴールドベルク変奏曲を聴いていた。良い午後。寒くて靴下を履いた。


May. 10. Sat.

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何かいろいろ煮え切らぬものがあり、弄っては戻し、弄っては弄り。このサイトのことです。
 トップにだらだら愉快日記を載っけるのも煮え切らぬが、余計にワンクリック増えるだけの白いトップも煮え切らぬ。アートかデザインか、なんてそんな深いものを垣間見たりしたっけ? した? under


May. 14. Wed.

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私は徒歩で夜道を帰る。周りはみんな自転車。次々と追い抜いて行く。
 53号の横断歩道待ちで私は彼らに追いつく。大学生風の若者たち。楽しそうだ、何が楽しいんだ、土曜日だからか? 明日は日曜、酒でも飲んだか、それとも今夜はにゃんにゃんかね。
 グリーンシグナル。空気の凝り固まったような一時のあと、再び時間が流れ始める、前屈みにペダルを踏んで、のろのろと加速する 自転車の群れ。私はまた次々と追い抜かれて行く。


「おれさ、ギャル系って苦手やからね、あん時あっちの方いったのよ」
 飲み会かなにかの、いきさつ話だろうか。彼の自転車に並走しながら、うんうん、それで?と笑顔を向けて話を聞いている女の子はちょっとギャルっぽかったけど、楽しそうだった。
 ドップラーシフトは確認できなかった。ただ、私を追い抜いて遠ざかって行った彼らの会話は、国道の車の音に紛れて消えてなくなった。


May. 17. Sat.

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布団を干したりカバーを洗濯したりしてみたが、思ったほどクリアに晴れず、午後に取り込んだらきれいに晴れてきた。


古い文章の推敲をしようと思ったが、最近は殆ど文学に触れておらず勘が鈍そう。昨年から読んだり読まなかったりの 太宰 の読みかけを久しぶりに読む。
 ここ何年、読書の量がめっきり減っている。たぶん、電車に乗らなくなったからだ。


May. 20. Tue.

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私の暮らしているアパートに使われていた建物は、各部屋六畳ひと間に、ガスの出ない水だけの流し付き。家賃は月々¥15,000 だったという。風呂とトイレは共同で、外に出た廊下のつき当たりにある。風呂場は一階のみ。
 今は私しか住んでいないので気兼ねなく専用であるが、風呂場やトイレの脇に設置されている洗濯機は非常に問題で、とにかく治安が悪い。今年はまだ見ていないが、夏も盛りになると、黒    速い でかい  闘   匹
 トイレも風呂も、本来は安らぎの場であるはずだ。アドレナリンを分泌していてはいけないと思う。


西日の頃、そのじめじめして暗くて狭い空間から洗濯機など、置き物を全部取っ払った。何もなくなった四角い空間はナイスだった。一昨年だったか、洗濯場の白い壁がすばらしく思えたのでギャラリーとして写真を貼ったりもしたものだが、洗濯機がなくなってさらにすっきりした。奴等の逃げ場も隠れ場もないぜ。やったぜざまあみろ。
 デッキブラシで床を磨いて気持ちの良い汗を流したので、夕飯前に缶ビールを開けた。


余談だが、来月半ばくらいになると風呂場はなめくじの季節を迎える。きみは、生き延びることができるか?


May. 21. Wed.

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午前中、掃除をしながら はっぴいえんど の「風街ろまん」を聴いていた。これが聴ける季節になってきた。


買い物ついでに立ち寄った蔦屋で写真雑誌やオシャレ女性誌をぺらぺら。いつの間にかくだらぬ百¥ショップが撤去され、代わりに拡張された文庫本のコーナーをぺらぺら。ふーんと眺めていると、いつかの新聞の書評で見て気になっていた本を見つけた。古川 日出男 著、「ベルカ、吠えないのか?」。
 アパート近所の中古本屋は( 岡山大学近くで学生も多いのにと言うべきか、学生が多いからと言うべきか )ロクなものがない。中古待ちに期待できそうになかったので、蔦屋で買っていくことにした。新品未使用で文庫本を買うのはたぶん人生で二度目だ。読みはじめる前に、読みかけの 太宰 を読み切ってしまおう。ちなみにその読みかけは、まるで絶筆のような題名の第一創作集「晩年」。
 ブコウスキー の読みかけも一冊あるが、そっちはこの際いいや。ベルカ と並行で読めそうだし。


今日は注文していた ソール・バス の復刻版作品集が( Amazonから:苦笑 )届いたり、夜は実家の映画チャンネルで「太陽を盗んだ男」を映っていたのでワクワク観たりと、インプット過剰だ。
 それぞれいちいち魅力を語りたいが、そうするといつまでも書き続けてしまうので、やらない。長い!


May. 22. Thu.

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起きてからどうも頭がすっきりしないなと、パソコンのモニターを見ながら、じっと見つめていられないことに気付く。これは頭痛だ。
 タイレノール を飲んで日中はおとなしくしていた。


口座にお給料が振り込まれているのをネットで確認。ベイスターズは終盤、相手好投手を一点差まで追い詰める攻撃を展開。ナイスゲームで今日も B クラス三位をキープ。


May. 23. Fri.

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一日中雨が降っている。
 少し肌寒いせいか、実家の猫にモテモテ。座っていれば膝の上、寝転がっていれば腹の上。私の周りをぐるぐる、何か用かと問えばそれには答えずもう一周。
 おかげで洋服が毛だらけ。夕飯は美味しかったけど、猫にやるものがなかった。


May. 24. Sat.

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やるべきこと、或いはやりたいこと、いづれも要度の高い事柄 A と B があり、その両方からバランスよく引力を受け、どっちつかずの中間点で何も進まない、というのがよくある。本当に頭が硬いと思う。
 また、それを認識しないうちはまだ上等だが、認識してしまうと、よくないはまり方をする。思考が停止して有耶無耶のうちに一日が終わる。まるで時間を超越するかのように。


現像に出していたモノクロフィルムを受け取り、そこからすぐ近所の ATOMIC CAFE というナイスな原子力喫茶でアイスコーヒーを頼んだ。
 ネガは少しぬるかった。久しぶりの ISO 100 で勘が鈍ったか。
 店には二時間ほど居座った。ずっとノートにごちゃごちゃ細かい字でああでもないこうでもない。最後はいかにもくつろいでいる風に、本を読んでみた。
 おろかな男は、やすむのにさえ、へまをする。というのは最近読んだ話にあった文句で、まったくその通りだと思った(本文中の意味合いとはまたちょっと違うように思うが)。いや、それなりに良かったのだけど、それも含めてやっぱりオロカメンだ。


大学に 山本 先生と云う方がおりまして、理路整然とし、また美しいものをお造りになる先生でありましたので、怖れながらも私は少なからず尊敬しておりました。ある時、私は自らの制作が遅々として進まず、山本 先生にその現状や方針の迷いなどをつらつら語っておりました。先生は私の言を途中でさえぎって曰く、
「つべこべいわずにやれ」
 何年も経ちましたが、今も私に刻まれている深い言葉です。先生、本当に全くその通りです。しかし 小野 は、今も愚かなままです。


May. 26. Mon.

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いつもと違う、粉の洗剤を使って洗濯をしたら、ゲロ吐きそう。洗剤の臭いがこびりついたような。量を間違えたか? そうでもない。確認をしたその箱には、「洗った後の洗濯物嗅いでみ?えーにおいがするじゃろ」、みたいなことが書いてある。舐めんな。
 デパートの一階売場に居るような不愉快さ。こんな香料だらけのタオルを使ったら、おれは顔を洗う度に嘔吐し、それを洗って嘔吐し、AUTO


こんなつまらないことでも、だめなときは頭がいっぱいになる。思考がロックする。LOCK はだめだ。ROCK ならいいけどね。Rock me baby, Yeah.


May. 28. Wed.

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昨日のことですが、作品をアップ致しました。春に撮影した桜の写真です。


やはり画像を扱うので、ファイル容量を気にせざるを得ない。この oninet のサーバーは、プロバイダ契約のついでにくれるスペースで、広告も出ないので有り難いが 10000KB しかないらしい。昔やっていたサイトは文字しかなかったので、三年近く続けたログもほんの 600KB くらいであった。スタジオ 貝* は既に 5000KB を超えた。
 すぐに埋まってしまいそうだが、画像を減らしたり画質を落とすのもつまらないので、苦肉の策ながら、画像データだけを infoseek のフリーサーバーに移し、そちらから読み込んでいる。
 ついでに、写真展示のサムネイルの読み込みがクソ重かったので(そりゃ、あのページだけで 3700KB も読み込んでいたのだから)、横着せずにきちんとサムネイル画像を作って軽くしておきました。イェイ


May. 30. Fri.

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imitated records or false memories

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