平成 二十三年 葉月

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地元の K 高が甲子園でとんとんと勝ち進むのを、ことさら応援するでもないが、テレビやラジオで追いかけながら仕事をした。
 "高校球児" などともてはやされてはいるが実態は体育会のヒエラルキーによる支配とそれ以外を知らないふつうのクソガキの集団であり、酒や煙草を喫りもすれば後輩をスパイクで足蹴にもするのだろう。そんなやんちゃな彼らでも試合となれば泥をかぶって白い球に齧りつき、敗北すれば人目も憚らず涙を流す。
 そんな熱い "ふつうのクソガキ" の姿には、毎度やられてしまう。


そういえばいつだっただろうか、今年のように地元の R 高が下馬評を覆しに覆して勝ち進んでいったことがあったなと思い出した。当時の映像などはインターネットの記憶の中からすぐに見つかった。とくに強豪として有名な C 高との準決勝戦は、高校野球ファンの中でも印象深いものだったようだ。
 1 点を追う 9 回裏の R 高の攻撃。塁上にランナーを貯めたものの 2 死。登場した 4 番打者は敬遠。そして、五万観衆からのふだんより少し大きめの拍手で打席に送られたのは、試合中に負傷した足を引きずった 5 番打者だった。もしかすると、このときにもう勝敗は決まっていたのかも知れない。彼の打球は外野守備の頭上を越えて転がった。そうそう、R 高の校歌は耳に残る良い歌だなと、当時も思ったのだ。
 動画のキャプションによると、それは 1999 年夏の大会。そうか、あのチームを引っ張っていた三年生たちは、おれと同級生だったんだな。学校も競技も異なるが、同じ夏に一足先に引退して次の進路に向かっていたおれは、勝ち進んでいたこと以上に特別な思いで彼らの戦いを観ていたかも知れない。


八月の末日。そろそろ夏も終わる。


Aug. 31 Wed.

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