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溜め込んだシャツの山から一枚ずつアイロンをかけていくうちに、懸案のパンかびシャツが最後に残った。
パンかびのシャツは、学生時代のごく初期に買ったものだから、十五年ほど経つだろうか。やわらかい白地とカラフルな水玉模様が、食パンのかびのように見えるのでそう呼んでいた。襟も袖も形が悪かったが、珍奇な柄はジャケットに映えた。
アイロンのかかった新しい花柄のシャツはきれいだった。
まだ丸まったままのパンかびシャツを裏返して、脇を少し詰めていた糸を解いて、引退させた。
Jan. 26, Tue.