平成二十八年 如月

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アルバムでちゃんと聴いてみたくて、くるりのメジャー最初の3枚を借りてきた。帰宅して、とりあえずファーストから回して部屋の掃除を始めた。
 昨日から急に暖かくなり、荒天ながら春を感じていた。「東京」が流れると、昨日話をした人も東京帰りの美術系で、あっちの暮らしとかこっちの仕事とかそんな話をしたなと思った。ふと気付いて計算をしてみると、やはり、東京を出てからちょうど10年が経っていた。2006年の2月いっぱいで取壊しのアパートを引払って、戻ってきたあのときの岡山も、ぬるい春の空気がぼんやりと充満していた。
 “あい変わらずわけの解らないこと言ってます”というのは頷くしかなくて、苦笑い。それに僕は、自分が情けなくて、東京の街から出てきてしまいました。すぐに戻るつもりで、そう約束もしたし、実家に住処がなく充てがわれた六畳一間は仮住まいだと思って、必需品の他は梱包を解かなかった。10年暮らしているその部屋はもうだいぶお気に入りで、解いた荷物はきれいに配置されているし、いろいろ物が増えていく。
 18で上京したときは、ただ新しい生活への緊張感で晴れ晴れしていた。故郷への思いは何もなかった。そこへ戻ってしまった。10年も経ってしまった。
“恥ずかしい事ないように見えますか”?


Feb. 14, Sun.

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imitated records or false memories

漁業通信

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