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よく眠れないまま目が醒め、そのまま枕元で本を読み終えた。次は何を読むか。未読棚にコクトーの詩集があった。翻訳詩などをよくも解らずいいかげんに読んでみようか。
すると棚にはもう一冊、ヘッセの詩集があり、そちらもペラペラめくってみると、あとがきの末尾にボールペンのメモ書きを見つけた。
S 42. 7. 26.
ある人より
ごく個人的と思われるメモでありながら、“ある人”と濁した心境を想うには材料が少ない。ただ、メモを遺しておいたという事実に、筆記者の内面におけるウェイトを感じた。
H 29. 9. 11. の晩、S 56. 生まれの僕の手許にこの詩集は在る。メモの日付から、50年経った。
Sep. 11, Mon., 2017