平成二十九年 霜月

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棚の平積みの資料類の上に、団扇があることに気付いた。いつも掃除のときに邪魔にしていたのに、本質を認識していなかった。プラ軸に広告が印刷された、どこででもタダでもらえるようなやつだ。オモテには下品な虹色のグラデーションで“祭”、ウラはテレビ放送のデジタル化についての広報が1色で刷ってある。
 大人しく退いた今年の夏にこの団扇を幾度手にとったか判らないが、少し扇いで、気が済んでポンと置いてから、定位置のようにずっとそこにあったはずだ。


ここ数日で急に冷え込みが進み、いよいよ昨日は灯油タンクの底を掻き集めてストーブを炊いた。
 “祭”の季節はとうに過ぎ去ったので、団扇はしまう。火を炊き、温かいものを食べ、コートを着られるし、厚着の女の子はかわいいので、冬はいい。


Nov. 15, Wed., 2017

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